参考資料・平均データDATA

業績連動給与の業績対象拡大

主に上場企業で損金算入(経費計上)が認められている、役員の「業績連動給与」。役員に支給する業績や株価連動で、複数の要件を全て満たす給与・賞与のほか、株式も対象となります。ただし、業績指標や計算根拠が有価証券報告書等で開示されている必要があることから、対象が上場企業や大企業に限定されています。

これまでは「利益連動給与」として、連動できる対象が、利益の状況を示す指標に限定されていましたが、「業績連動賞与」として、

  • 株式の市場価格の状況を示す指標
  • 売上高の状況を示す指標(単独では不可)

も連動対象となり、単年度だけでなく、複数年度の指標と連動が可能となったことで、役員に対する短期インセンティブとしてだけではなく、中長期インセンティブとしても活用できるようになりました。

経済産業省作成の『「攻めの経営」を促す役員報酬~企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引~(2021年6月時点版)』では、一般的に用いられる利益指標の例として、以下のような指標が例示されています。

(参考)一般的に用いられる利益指標の例

区分 指標の例 算定方法の例
(1) 営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益
(2) EBITDA(利払・税引・減価償却前当期利益) 税引前当期純利益+減価償却費+支払利息
(3) EPS(一株当たり当期純利益) 普通株式に係る当期純利益/普通株式の期中平均株式数
売上高営業利益率 営業利益/売上高
ROA(総資産利益率) 当期純利益/ (期首総資産+期末総資産)÷2
ROE(自己資本利益率) 当期純利益/ (期首自己資本+期末自己資本)÷2
(4) 当期純利益(前期比) 当期純利益-前期当期純利益
当期利益率(計画比) (当期純利益÷売上高)/(計画当期純利益÷計画売上高)
営業利益率(前期他社比) (営業利益÷売上高)/(前期他社営業利益÷前期他社売上高)
営業利益率(当期他社比) (営業利益÷売上高)/(当期他社営業利益÷当期他社売上高)
(5) EBIT(利払・税引前当期利益) 税引前当期純利益+支払利息−受取利息
ROCE(使用資本利益率) 税引前当期純利益/(総資産-短期負債)
ROIC(投下資本利益率) (営業利益×(1−実効税率))/  ((期首株主資本+期首有利子負債)+(期末株主資本+期末有利子負債))÷2
部門別営業利益 営業部門の営業利益

注:その他、利益に一定の調整を加えた「修正ROE」、「平準化EBITDA」や「潜在株式調整後EPS」なども対象に含まれます。

これだけあると、企業にとっては、どの業績指標を選択するか迷うことでしょう。そのヒントを得るには、他社の有価証券報告書を見るのがよいと思います。冒頭で述べたように、「業績指標や計算根拠が有価証券報告書等で開示されている必要がある」のですから、業績連動給与を導入している上場企業の有価証券報告書に、業績指標や算定基準が記載されているのです。

有価証券報告書で業績連動給与の算定事例を探す場合には、自社と同業界の上位企業から始めるのがよいと思います。業界によって、重視される業績指標が異なります。また、上位企業の方が、業績連動給与を導入している割合が高いですし、業績指標や算定基準などについて、詳細に開示しているケースが多いからです。各社のIRサイトで調べるほか、金融庁のEDINETサイトを活用すれば、複数の企業の有価証券報告書を閲覧する際に、効率的です。

業績連動給与導入の有無に関わらず、同業他社の重点経営管理指標を学習する、よい教材となるでしょう。

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