役員評価基準検討のポイントと役員評価表事例(サンプル)
取締役や執行役員など役員に対する評価基準の検討ポイントと、役員評価表のサンプル事例を紹介します。評価結果については、基本報酬(固定報酬)、業績連動報酬(賞与)、株式報酬への反映のほか、役位(専務、常務など)付与、選解任に活用することが考えられます。
-
役員の評価構成(業績評価と役割評価)
取締役や執行役員の評価については、まず評価対象として「業績評価」だけでよいか、「役割評価」を加えるかと検討します。役員にもなれば、「業績=結果に対する評価だけで十分」という考え方もありますが、「すぐに業績に表れない役員としての役割遂行(部門間連携や人材育成など)も評価すべき」という意見にも一理あります。また、事業部門や営業部門のように業績が明確になりやすい部門もあれば、管理部門や企画部門のように成果を定量化するのが難しい部門もあります。
評価構成(業績評価と役割評価)については、経営方針によって判断することになります。
-
業績評価設計のポイント
業績評価は、役位や担当部門ごとに、全社業績と担当部門業績の割合、業績指標や評価方法について検討します。社長やCEOであれば全社業績だけでよいでしょうが、担当部門を統括している役員については、担当部門の業績も反映させた方がよいでしょう。更に、単年度だけで見るか、3~5年などの中期で見るかも検討が必要です。
加えて、数値化できる重点業績指標(KPI)だけでよいのか、部門課題解決などの成果評価も加えるのか。前者であれば、評価基準を計算式にすることも可能ですが、後者であれば目標管理(MBO)による評価の方が適しています。
業績を評価する際には、
- ①目標や計画に対する達成度:「売上計画達成率」「利益目標達成率」など
- ② 前年など過去実績に対する伸長度:「売上高前年比伸長率」「株価前年比伸長率」など
- ③絶対値:「連結ROE実績」「ESG評価スコア」など
- ④市場実績比較:「TSR(TOPIX成長率比較)」「株価成長率(同業界TOPIX比較)」など
といった複数の観点から選定することになります。
-
役割評価設計のポイント
社内取締役、執行役員ごとに求められる役割項目に対して、遂行度を評価します。「中長期ビジョン」「部門間連携」「後継者育成、人材育成」「グループ意識」など、期待される役割に対する評価となります。
社外取締役に関しても、業績評価は馴染みませんが、「取締役会出席率」「各種委員会出席率」といった定量基準に加え、「取締役会での発言」「ガバナンスへの貢献」「事業方針決定への参画」「専門分野における判断、貢献」「グループ全体の理念、事業への理解」など期待役割に対する定性的な評価も可能です。
評価プロセスについては、社長や報酬委員会などが評価する方式に加え、360度評価や役員間で相互評価する方式もあります。
-
役員評価基準例(サンプル)
業績評価基準例(定量基準による評価)
※画像をクリックすると拡大します
業績評価基準例(目標管理による評価)
※画像をクリックすると拡大します
役割評価基準例
※画像をクリックすると拡大します