グループ企業の役員報酬事例と設計のポイント
グループ企業における、役員報酬制度を紹介します。
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企業ランク基準
グループ企業で役員報酬制度を設計する際に、企業ごとの規模などに応じて企業ランクを設定し、役員報酬水準を検討します。売上や資本金、社員数といった企業規模指標のほか、利益や利益率など収益性を加味すべきかどうかを検討します。
企業評価指標 企業ランク4 企業ランク3 企業ランク2 企業ランク1 売上高 30億円未満 30億円以上 60億円以上 100億円以上 社員数 100人未満 100人以上 200人以上 300人以上 経常利益 1億円未満 1億円以上 2億円以上 3億円以上 売上高をベースに、社員数、経常利益額も加味して、グループ経営会議で決定。
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月額報酬
月額報酬額については、企業ランクごとの役員報酬相場などを参考にしながら、水準を決定します。この事例では、企業ランク別・役位別に、上限下限金額を設定し、毎年の評価により増減するしくみとなっています。原則として、上限下限金額を超えて、昇給・減給が行われることはありません。
企業ランク別・役位別月額報酬表
役位 企業ランク4 企業ランク3 企業ランク2 企業ランク1 社長 140~160 160~180 180~200 200~220 専務 120~140 140~160 160~180 180~200 常務 100~120 120~140 140~160 160~180 取締役 80~100 100~120 120~140 140~160 上席執行役員 80~100 100~120 執行役員 70~90 90~110 ※企業間で役員を兼務する場合には、上位企業ランクの月額報酬に+10~30万円加算する。
月額報酬改定基準表
評価 増減 S +10万円 A +5万円 B ±0円 C -5万円 D -10万円 -
業績賞与
業績賞与については、以下の算定式により決定するしくみを紹介しています。この事例では、月額報酬に役位係数と評価係数を掛け合わせて、賞与額を決定します。役位係数により、役位が高くなる程、賞与ベースが高くなっています。
業績賞与=月額報酬×役位係数×業績評価係数
役位係数表
役位 役位係数 社長 3.0 専務・常務 2.0 取締役 1.5 上席執行役員 1.2 執行役員 1.0 評価係数表
評価 評価係数 S 1.5 A 1.2 B 1.0 C 0.8 D 0.5 役位係数表
役位 役位係数 社長 3.0 専務・常務 2.0 取締役 1.5 上席執行役員 1.2 執行役員 1.0 評価係数表
評価 評価係数 S 1.5 A 1.2 B 1.0 C 0.8 D 0.5 -
評価
役員評価については、以下のように、「全社業績」「部門業績」「役割遂行評価」の割合を決めています。役位が高くなる程、全社業績の割合が高くなり、社長は100%全社業績となっています。
役位 全社業績 部門業績 役割遂行評価 社長 100% - - 専務・常務 70% 30% - 取締役 30% 50% 20% 上席執行役員 - 70% 30% 執行役員 - 70% 30% このように、グループ企業における役員報酬制度設計の際には、企業の規模や重要度によるランク付けの基準と、企業ランクに応じた報酬水準の設定がポイントとなります。