昨年、本サイト上にて、取締役の社内公募制度導入で注目したサイボウズですが、
企業事例研究:サイボウズ「取締役社内公募制導入、社外取締役は0人」 | 役員報酬.com (yakuin-hoshu.com)
引き続き同制度を継続しています。
しかしながら、これまで否定してきた社外取締役については、以下のように方針転換し、2名の選任を行っています。
当社は社外取締役を選任しておりません。当社は、変化に富んだIT業界において、迅速かつ柔軟に対応できることが何より重要と考えております。このような中、当社の属する業界や当社の理念及び事業環境等に対する理解が不十分な社外取締役を選任した場合、取締役会での迅速かつ柔軟な意思決定が阻害されるおそれがあります。また、法令上の社外取締役の要件を満たしつつ、当該おそれのない適任者を探して社外取締役として選任することは容易ではない上に、報酬等を含めて相応のコストを要すると考えるため、これを実施しておりません。しかしながら、当社は、意思決定における透明性の向上や多角的視点の導入、ガバナンス体制については極めて重要と考えており、社内外を問わず経営の透明化を図ることを前提として、「誰もが取締役の役割を担う」と考えております。一人ひとりが自立心を持って質問責任を果たし、意思決定者がオープンな場で説明責任を果たすことにより、株主に選任された取締役のみによるガバナンスを超える組織が実現できると考えております。なお、2021年3月1日施行の改正会社法による社外取締役の設置義務を受けて、当社もこれを機に経営体制の見直しと社外取締役候補者の選定を進めてまいりましたところ、適任者にご内諾を頂けましたので、2022年3月26日開催の定時株主総会で社外取締役を選任予定です。
サイボウズ株式会社
2021年12月期 有価証券報告書より
さすがに、法律には逆らえません。しかし、この社外取締役候補の選定に当たっては、「社員推薦で募集」と、同社らしいユニークな方法を実施しています。
さて、昨年は社内公募制度から誕生した17名の社内取締役ですが、今年は社長をはじめ3名が留任、その他の14名が退任、新たに4名が選任され計7名と、かなりコンパクトになりました。
プライム市場に上場する企業の取締役が、毎年入れ替わるようなことで、職務を果たせるのか?株主目線で経営者を監督する役割の社外取締役(候補者)を、社員推薦するということが適切なのか?
かなり実験的な試みですので、早計に結論を出すべきではないかもしれませんが、2021年度からの業績(増収ながら、大幅減益)や株価の下落傾向を見る限り、投資家からは厳しい見方がなされそうです。
2022年5月30日