役員報酬に自社株を使う動きが強まってきた。企業価値の向上へ株主と役員の足並みをそろえようとする日本企業が増えたことに加え、来年4月に控える東京証券取引所の市場再編が特需を生んでいる。証券会社や信託銀行は専門の部署を立ち上げるなど対応を急ぐ。株式を使った役員報酬がさらに広がりそうだ。
野村証券によると、今年6月末時点で株式による役員報酬を導入済みの企業数は前年同月より210社多い約1900社。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210716_03.html
<ポイント解説>
株式報酬の導入企業が約1,900社に達し、全上場企業の約半数になったということです。内訳としては、ストックオプションが減少傾向である反面、譲渡制限付き株式報酬、株式給付信託が増加しています。
東証一部企業では約6割が導入ですので、二部やJASDAQなど一部を除いた上場企業では、まだ4割程度ということになります。固定報酬のみで業績連動報酬(賞与)を設けていない会社もありますので、まずは短期インセンティブとしての業績連動報酬を導入・拡大することが先決でしょう。その上で、中長期インセンティブとしての株式報酬について、必要性や全体に占める報酬割合、種類、内容について、慎重に検討すべきと考えます。「同業他社がやっているからウチも」という拙速な判断は禁物です。